物語は語り手達の今へと向かうにつれ、暗さを増して行く。彼等が迷い、苦しみ、選択し、今へと戻り行くにつれ、物語は次第に光を、色彩を失い、陰惨に、複雑に、重く、厚く、淀んで行く。息苦しい。是非を問えぬと言う事。立ち入り難く、触れ難い。自らと同じ傷を持たぬ一切の者を拒むかのような彼等の闇の深さ。何も出来ない。寄り添う事も。共に沈んで行く事も。どう足掻いても共犯者にはなれない。それでも、知りたいと欲する。彼等の行き着く場所を。無力のまま、身動きの取れぬまま惹かれる後ろ暗さを抱きながら、ただそのすべてを黙して見届ける。
しかし嬉しいバートンズ!ほっとする。その揺るがなさ。とうに完成されているその関係性。別世界感がある。彼等のいる時間だけ。彼等のいる場所だけ。同じ物語の中ではあるのだけれども、違う。バートンズやメイ達の存在は大きい。自分と語り手達の間には、彼等がいる。とても安心する。