自分も実際に言われたり聞いたり目にしたり、或いは自分も時には使ってしまったりして、その都度うんざりしたり白けたり鬱陶しく思ったり苛立ったりしている類の、彼等の言説や思い込み、当たり前や常識、と言った事どもを。陳腐でありがちで、稚拙で無知で、愚鈍で浅慮で単純で、深刻で切実であったりする、彼等の悩みや逡巡、発想や連想や選択、結論や決意、恋模様、と言った事どもを。体感し続けて。目の当たりにし続けて。それらが如何に可笑しいか、ありふれているか、と言った事どもを、思い知らされ続けて。ここで生きているなあ、と思う。悲しいかな。自分も日々。
そして次は『タマや』を再読するのであるし、その次は『小春日和 インディアン・サマー』を読むに決まっている。
金井 美恵子
河出書房新社
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