2019年4月24日水曜日

金井美恵子『道化師の恋』楽しい再読の記録

『文章教室』から続けて再読。楽しさは続いて行き、最早お馴染みの彼等を、自分の知っている誰かであっても不思議ではない、よく知っている気のする彼等を、笑いつつ、小馬鹿にしつつ、嫌悪しつつ、呆れつつ、妙に感心しつつ、気にし続けて、自分の下世話さを自覚せずにはいられない…。
自分も実際に言われたり聞いたり目にしたり、或いは自分も時には使ってしまったりして、その都度うんざりしたり白けたり鬱陶しく思ったり苛立ったりしている類の、彼等の言説や思い込み、当たり前や常識、と言った事どもを。陳腐でありがちで、稚拙で無知で、愚鈍で浅慮で単純で、深刻で切実であったりする、彼等の悩みや逡巡、発想や連想や選択、結論や決意、恋模様、と言った事どもを。体感し続けて。目の当たりにし続けて。それらが如何に可笑しいか、ありふれているか、と言った事どもを、思い知らされ続けて。ここで生きているなあ、と思う。悲しいかな。自分も日々。

そして次は『タマや』を再読するのであるし、その次は『小春日和 インディアン・サマー』を読むに決まっている。


道化師の恋 (河出文庫文芸コレクション)
金井 美恵子
河出書房新社
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