そして高みより見下ろし臨む、人界の醜い事、愚かしい事…。幽界に属する、或いは幽界にこそ近しいものの目に映る、現の酷い事、耐え難い事…。美はやはり、ことごとく現を離れ、高みへ。下界になど、とどまる理由もなく、また到底存在し得ない。魂ごと超える。魂ごとそちらへ。この世ならざるそこでのみ、煌めく。
境目としての、境界線としての、水であり、天守。明らかに、残酷なまでに、隔てている。人界と異界を。人と妖を。醜と美を。一度でも超え、目の当たりにしてしまえば、その優艶さを知ってしまえば、もう戻れはしない。迷いなく、美へ、そちらへ。滅びと言う大団円。現を飲み込み、幽界はいよいよ輝く。