物語を大切にする、物語の中にある、また物語を思う時にある、豊かさや喜びを大切にする子ども達の物語。それぞれの特別、それぞれのとっておきを持ち寄っては見せ合い、重ね合い、物語をより新しく、より魅力的に膨らませて行く楽しさ。行き渡る愛情は、時に押し付けがましく、煩わしいものとして降り注ぐそれとは別の、彼等と同じ場所で、同じ楽しさや哀しみを見つめるが故に、溢れ出るもの。微笑ましく、快い。
最後の、小雑誌『つぼみ』などとてもよかった。読む、思う、書くことの楽しさを知る子ども達の、微笑ましく、けれど懸命な試み。同じく松田瓊子の『すみれノオト』が欲しくなる。