信じ抜くにはあまりにも酷い仕打ちの数々。苦しみ、哀しみ、それでもなお、殉じようと、まっとうしようと挑む。もどかしい。その健気さ、その生真面目さが。そして眩しい。慎ましくも力強いその決意が。
可憐な、けれど脆くも弱々しくもない少女達。友であり、妹であり、また自分自身でもある少女達を、見守り、励まし、支え、導くかのような、書き手の温かな眼差し。願いであり、救いであり、慰めであり、答えであり、物語そのものが松田瓊子自身の敬虔さ(それは感傷などではなく、もっと真摯であり堅固であるもの)の賜物であるかのよう。