短い話ばかりだけれど、いずれも素晴らしく、何よりオチが秀逸過ぎる…!今日泊亜蘭…偏屈で、気難しくて、照れ屋で、とんだひねくれ者であるように思う。稀代のエンターテイナーであるように思う。一筋縄ではいかないものばかり。もっと騙されたいし、驚きたいし、皮肉で痺れたい。
人の愚かしさや矮小さ、滑稽さ小狡さであるとかを、これ以上ないくらい有効に使う。こちらが息を飲むほかないぐらい、鮮やかに見せつけて来る。強力な切り札のように、最後に突き付けて来る。皮肉り、揶揄し、糾弾するよりももっと巧みに、抉るように、抉り取るように、魅せるように、オチに利用する。そのやり口の妙、いちいち痺れる。
〈「…お前らの世界なんぞ、おれ達の大きさから見れば、おれ達が遊びのためにブチ壊して覗く、蟻塚のなかの蟻の世界みたいなものさ」〉
〈が、そう言ってΣ星人が嘲ったとたん、その人工惑星じしんがグラグラと激しくゆれだしたと思うと、高い大ドームの屋根がいきなりポッカリと割れ〉…
上には上が、更にそのまた上が。もっと広大なものが、壮大なものが。より膨大なものが。とてつもなく強大なものが。自分達の世界はまったくすべてではない。すべてだと思っていたけれど、全然すべてなどではなかった。小さな箱であった。もっと大きな人達にとってのシルバニアファミリー的なそれであった。何度も思い知る。何度も立ち竦む。何度も急降下。けれどいつしか、立ち竦み、落下し、思い知るその瞬間を、自分は待ち望むようになっていた。大ハマり。